2013年、ヴィッセル神戸のJ1昇格を最後に引退した吉田孝行氏。サッカーに対する情熱は熱く、今もまだ現役当時を思い起こさせる姿で、走り続けている。
セカンドキャリアも
やっぱりサッカーで。
–2013年で引退されましたが、その後の活動を教えてください
2014年はヴィッセル神戸の強化兼アンバサダーとして、さまざまな活動をしました。強化の仕事では、関西の高校・大学のスカウティング。アンバサダーとしてはクラブのイベントやサッカースクールなどに参加して、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えたりしました。休みはほとんど無い大忙しの1年でしたが、自分にとっては本当に貴重な経験でした。現役時代はプレーのことだけを考えて、身体のメンテナンスなどをして、毎試合に集中するだけだったのが、昨年はチームの営業にも同行したり、子どもたちと触れ合ったりと、いろいろと初めてのことにチャレンジさせてもらい充実していました。
–2015年にはトップチームのコーチに就任されましたね?
コーチに就任したことで、また2014年とはガラッと違った1年になっています。どちらかと言えば、選手時代に近いですね。試合に勝つために、チームが向上していくために、常に準備しています。監督のアシスタントをしながら、チームのことを考えて、日々勉強です。
–コーチになることは、引退前から考えていたことですか?
現役中もセカンドキャリアはサッカー以外に考えが浮かばなかったので、引退したら「コーチになるんだろうな」というイメージでした。現在はA級ライセンスを取得していて、S級を受講中です。A級は2014年に取得しました。
–現役時代と引退後では、サッカーの捉え方は変わりましたか?
多少は変わりました。外から見ていると、サッカーって簡単に見えますよね(笑)。外からだと「なんで?」と思うこともありますが、まだプレーヤーの目線も持っているので、その理由もよくわかったりします。だからプレーヤー目線を大事にしながら、外から見えるサッカーを選手たちに伝えていければよいかなと思っています。
スポーツの力の大きさを
感じたチャリティーマッチ
–関西レジェンドクラブの発足には、どのような感想をお持ちでしょうか?
JリーグでのOB会はありますが、関西の4クラブの中心とした地域での取り組みがこれまでに無かったので、良いことだと思います。梶野さんには「本当によく作ってくれたな!」という感謝の気持ちです。関西4クラブはライバルかもしれませんが、お互いが切磋琢磨して、日本のサッカー界を盛り上げる存在でもあると思うので、素晴らしい組織になることを期待しています。
–関西レジェンドクラブでは、どのような活動をイメージしていますか?
サッカースクールやレジェンドマッチを開催して、その収入を運営資金として、子どもたちのサッカーのできる場を提供するという感じでしょうね。今後は活動しながら、他の組織の動きを参考にしていければと思っています。
–2015年1月には吉田さん自身がチャリティーマッチを企画されましたね?
あれは本当に大変でした(笑)。参加選手一人ひとりに声を掛けることも大変でしたが、「どの選手は宿泊する」「この選手にはチケットが何枚必要」「誰には駐車場の手配が必要」とか、マネジメントも私が担当したので、本当に大変でした(笑)。でも、あのような取り組みは素晴らしいと感じましたし、スポーツの持っている力の大きさを感じました。こんな活動を関西レジェンドクラブでもできればと思っています。
–関西レジェンドクラブの今後は?
将来的には関西でプレーした選手が当たり前のように登録するような組織になって、存在価値も大きくなり、地域に貢献できる組織になってほしいですね。そのためにも、梶野さんを中心に続けていくことが大事だと思います。レジェンドマッチなどの活動だけでなく、OB同士の交流の場になって、いろいろな情報交換のできる場になると、また楽しいことも生まれるかもしれません。新しいクラブチームを作るとかね。
吉田 孝行 TAKAYUKI YOSHIDA
1977年生まれ。横浜F・マリノス等を経て2008年ヴィッセル神戸へ。2013シーズンをもって現役を引退し、ヴィッセル神戸アンバサダーとして活躍。2015シーズンよりトップチームコーチに就任。