「第20回大阪アジアン映画祭」閉幕。クロージングには「桐島です」を世界初上映!

2025年3月23日(日)、「第20回大阪アジアン映画祭」が閉幕。ABCホールで開催されたクロージングセレモニー各賞が発表され、グランプリ(最優秀作品賞)には、婚約者にフェイ・ウォンのコンサートチケットを取り上げられた女性が奇妙な男に出会う壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)が輝きました。

つづいて、クロージング作品として、高橋伴明監督作、毎熊克哉が主演する「桐島です(英題:I Am KIRISHIMA)が世界初上映。上映前の舞台挨拶では、高橋伴明監督、脚本家・梶原阿貴さん、長尾和宏さんが登壇し、さらにはサプライズゲストとして、本作のプロデューサーで出演もされている高橋惠子さんも駆けつけ、本作の魅力を語ってくれました。

 

毎熊克哉は日本映画界を担う俳優になる。

クロージング作品として世界初上映された「桐島です」(英題:I Am KIRISHIMA)は、連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、2024年に70歳で死亡した桐島聡をモデルとした作品。彼の知られざる半生を、報道・史実をもとにフィクションを織り込んで描いた社会派エンターテインメントです。

舞台挨拶で新作「桐島です」が世界初上映されることについて問われた高橋伴明監督は、「ひっそりと公開される映画だと思っていたのに、こうして大々的に発表できることができ、びっくりするとともに本当に感謝しています」と心境を語ります。

主役の桐島聡を演じるのは、去年の大河ドラマ『光る君へ』での印象的な演技も記憶に新しい毎熊克哉さん。今作でも、東アジア反日武装戦線に参加して指名手配される20歳から胃がんで死亡する70歳までを〈確かにそこにいたであろう、あるひとりの男性〉として体現しています。

その毎熊さんについて高橋監督は、「映画『ケンとカズ』のころから注目していた。毎熊克哉は、日本映画界にとって大事な存在になることは間違いない」と絶賛していました。

第20回大阪アジアン映画祭 クロージング作品「桐島です」舞台挨拶での高橋伴明監督

 

タイトルしか決まっていない段階で出演を決めた。

脚本を手掛けた梶原阿貴さんは、高橋伴明監督とは「第96回キネマ旬報ベスト・テン」をはじめ数々の賞を手にした『夜明けまでバス停で』以来の再タッグ。今回の「桐島です」も実話をベースにした作品で、「実際の事件を映画化することは関係者への配慮などむずしいことがある」といい、多くの人が知る実話をエンターテインメントな映画に仕上げる苦悩を口にしました。

また、高橋伴明監督とは『痛くない死に方』、『夜明けまでバス停で』に続いて3作目のタッグとなる製作総指揮の長尾和宏さんは、「命、生きること、死をやさしい眼差しを向けている」と監督への絶大なる信頼を寄せていました。

第20回大阪アジアン映画祭 クロージング作品「桐島です」舞台挨拶での長尾和宏(製作総指揮)さん

舞台挨拶には、本作のプロデューサーであり、出演もされている高橋惠子さんがサプライズで登壇。本作は「まだ脚本ができていない、タイトル「桐島です」だけしか決まっていない段階で、これはどんな役でも出演しよう」と決意したそうで、はじめて高橋伴明監督に自ら出演を希望したと明かします。さらには「スクラップブックをつくっていたくらい、もともと桐島聡に関心があった梶原さんだったからこそ書けた脚本だった」と高橋伴明監督組への思いも語ってくれました。

第20回大阪アジアン映画祭 クロージング作品「桐島です」舞台挨拶での高橋伴明(監督)さん、高橋惠子(プロデューサー・出演)さん、梶原阿貴(脚本)さん

 

映画「桐島です」

©️北の丸プロダクション

〈ストーリー〉

連合赤軍事件を受け、学生運動が下火になった1974年。桐島聡(20)は、後に東アジア反日武装戦線・さそりのリーダーとなる黒川芳正(26)の考えに賛同。鹿島建設資材工場を爆破後、桐島らは部隊名をさそりに決める。時を同じくして、桐島は恋人のヨーコに、学生、市民、農民、労働者といった立場からの戦い“労働者運動”について、「時代遅れだと思う」と一蹴され、振られてしまう。

1975年5月、黒川ら東アジア反日武装戦線メンバー7人の逮捕の一報に桐島と宇賀神は逃亡を決意。次に会う日取りと場所を決める。

1984年、桐島は“内田洋”と名乗って工務店で勤め始める。夜は行きつけのバーでビールを飲み、踊る日々。そこで桐島は、歌手のキーナが「時代おくれの男になりたい」と河島英五の「時代おくれ」を歌うのを聞き、感動。キーナとの距離が縮まり、告白されるが…

2025年7月4日(金)より、新宿武蔵野館他、全国順次公開

公式サイト:https://kirishimadesu.com/

masami urayama

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