あの頃、音楽は人生のすべてだった ─── 実在の兄弟デュオ「ドニー&ジョー・エマーソン」の驚くべき軌跡をたどる映画『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』が、1月31日(金)から全国公開されます。
1979年に10代で作った1枚のアルバムが“埋もれた傑作”として約30年後に再評価され、注目を集めた兄弟とその家族の半生を描いた本作で、主役のドニーを演じるのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でオスカーに輝いた名優ケイシー・アフレック。『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』のビル・ポーラッド監督とアカデミー賞®︎作品賞受賞『グリーンブック』『それでも夜は明ける』の製作陣がタッグを組み、繊細かつ感動的な物語をつむいでいます。
はじまりは、1979年に生まれた1枚のアルバム。
〈いい音楽は時を超える〉ともいわれますが、この映画はそれを体現した実話がベースになっています。
はじまりは1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム『Dreamin’ Wild』です。制作したのは、10代だったドニーと兄・ジョーの兄弟デュオ。音楽の才能に恵まれたドニーは、父が息子たちに10万ドルをかけて自作したスタジオで数々の楽曲を生み出し、兄や友人たちの演奏でレコーディングしてアルバムを完成させます。
家族の深い愛情と情熱によって作り上げられた作品でしたが、田舎町でリリースした自主制作レコードがヒットするほど音楽業界はあまくありません。世間から見向きもされず、音楽で成功するという家族の願いはかなえられませんでした。
それから約30年の時が経ち、思い描いていた夢とは程遠い人生を送っていたドニーは兄のジョーから信じがたい知らせを受けます。かつて誰にも見向きされなかったあのアルバムが音楽コレクターによって発見され、 “埋もれた傑作”として人気を博しているというのです。
長い時を経ての再評価に家族は歓喜しますが、中心人物であるドニーだけは素直に喜べません。音楽がすべてだったあのころと現在のギャップ、音楽によって失われてきた数々のもの─── 30年前のアルバムが掘り起こされたことによって、ドニーは目を背けてきた過去や感情と向き合わなくてはいけなくなるのです。
ドニー&ジョー・エマーソンをはじめ、1970年代前後の名曲たちが家族の物語を彩る。
本作は、音楽に人生を翻弄されたドニーをはじめ、音楽によって喜びと悲しみを与えられた家族のはなし。そのため、音楽も映画の重要な存在です。劇中ではボブ・ディランやダリル・ホール&ジョン・オーツ、レオン・ラッセルなど、1970年代前後に人気を博した数々の名曲が流れ、家族の物語を彩っています。
そしてなにより、モデルとなったドニー&ジョー・エマーソンがとってもいいのです。正直、わたしは彼らをまったく知りませんでしたが、素朴さとポップさを併せもつサウンドにフレッシュで甘いボーカルが重なる、なんとも1970年代らしい楽曲たちは、簡単にいうとエモい! ドニーを演じたケイシー・アフレックとノア・ジェブ(青年期)が演奏する姿も、その時代のミュージシャンらしい雰囲気が再現されていています。
この物語のキモは、埋もれた名曲がレコードコレクターによって約30年後に発掘されること。音楽に夢を託して敗れた家族たちが、その音楽によって救われ、散り散りになった夢のかけらを集めて再生していく─── 音楽好きとしては、その姿にグッとくるのです。
今はSNSやサブスクによって、昔の音楽が世間に届きやすい時代。映画のラストシーンを観ながら、「もっと多くの名もなき楽曲がスポットライトを浴びるといいなぁ」と、しみじみ思いました。
映画『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』
2025年1月31日(金)より、大阪ステーションシティシネマ、kino cinema心斎橋、シネ・リーブル神戸
2月7日(金)より、京都シネマなどで公開。
公式サイト:https://sundae-films.com/dreamin-wild
X(旧Twitter):https://twitter.com/SUNDAE_FILMS
Instagram:https://www.instagram.com/sundae_films
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