“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋人を亡くした構成作家の青年が、悲嘆の状態にある人にさりげなく寄り添う「グリーフケア」と出会い、自らと向き合う姿を描いたヒューマンドラマ『君の忘れ方』。
2025年1月17日(金)からの全国公開に先駆け、11月16日(土)に特別上映会を実施。会場は、昨年の台風7号の影響により休館していたMOVIX八尾で、リニューアルオープンを記念して行われました。あわせて舞台挨拶が開かれ、八尾市の隣町出身のヒロイン・西野七瀬さんと大阪・茨木市出身の作道雄監督が登壇。撮影秘話を披露してくれました。
MOVIX八尾には、よく来ていた。
リニューアルオープンしたMOVIX八尾の一番大きなスクリーンに集まったのは、激戦のチケットを勝ち取った観客たち。西野七瀬さんと作道監督が登場すると、満席の会場から大きな拍手が起こりました。
まずは、西野さんが「雨の中お越しいただきありがとうございます。よく来ていたMOVIX八尾での舞台挨拶を楽しみにしていました」とあいさつ。つづく作道監督は「めちゃめちゃスクリーンデカくて緊張しています」と驚いていました。
隣町出身の西野さんはMOVIX八尾にはよく来ていたそうで「小六から中一くらいのときにできたと思うんですが、家から一番近くて、映画といえばこの“八尾アリ”(※Arioという商業施設)に行っていました」と地元ならではの呼び方を披露。
そのMOVIX八尾が、昨年の台風7号での被害によって1年ほど休館。今回、リニューアルオープンしました。「休館の話を風の噂で聞いて、早く復活できるようにと遠くからですが思っていました。『君の忘れ方』の完成がタイミングよくて、今日舞台挨拶に来られてよかったです」と地元への凱旋を喜んでいました。
タイトルの「君」は、西野さんのこと。
本作を一般のお客さまが観るのは、今回がはじめて。「上映後に拍手が聞こえていました」と好反応に西野さんはうれしそうです。
MCが撮影中のことを問うと、「私の撮影日数は比較的限られていたんですが、参加した日は全て快適で空気がきれいでした」と西野さん。
作道監督は西野さんのキャスティングを「『君の忘れ方』というタイトルの『君』こそ、西野さんか演じた美紀です。亡くなってしまって、たとえずっと出てこなかったとしても、観客が『君』のことを常に想像できるくらいの存在感のある人。そして、可憐で儚いイメージのある人。これが僕にとって西野七瀬さんでした」と語ると、西野さんは「監督から、出演をオファーされたときにお手紙をもらったんです」と打ち明けます。
MCから「ラブレターですか?」と聞かれると、「それくらい、思いは強かったんで!」と力説。しかし、西野さんが「直筆じゃなかった」と明かし、笑いを誘っていました。
「まぼろし」はなぜ出るのか、3人で話し合って決めた。
西野さんは、坂東龍汰さん演じる主人公・森下昴の恋人で、その後まぼろしとなって現れる美紀。「演じるのはむずかしかったのでは?」と聞かれ、「演じたことのない“まぼろし”は、チャレンジでした。美紀の意思で出ているのか、昴(スバル)の意思で出ているのか、監督と(主人公の昴を演じた)坂東龍汰さんと打ち合わせし、“昴の意思”だとみんなで決めました。あくまで幻影で心情はいらないので、“無”になって動きました。歩くのがむずかしかったです」と西野さん。つづいて作道監督が「演出としては、生きているときの美紀はガラス越しでしか映していない。見えるのに、ふれることができないふたりの距離感を冒頭で暗示させたかったのです。ラジオ局ではブース越しですし、バスのシーンもアクリル板越しにカメラを据えています」とこだわりを語ります。
さらに、「唯一、声を出してもらうシーンは、(スタジオでの)別撮りではなく、ロケ中に録ってもらいました。美紀も、その声を出すときは緊張していただろうと思って、テイクワンを使いました。そのシーンが終わったとき、西野さんが涙をこぼされて…」と撮影中の秘話を披露。西野さんは「台本を読んだ当初は深く理解できていなかったのですが、そのシーンを撮るときには撮影を重ねていたので、スッと演じられました」と教えてくれました。
さらに、西野さんの演技秘話として作道監督が「(まぼろしを表現するために)まばたきをしていなかった」ことを明かし、西野さんは「生身ではないまぼろし役を演じるために思いついたのが、まぼろしの時は“まばたきなし”で演じること」であったといいます。
さらに、劇中でのキーアイテムである「カレー」についてこだわりを聞かれた西野さんは「チキンカレーが好きで、トマトが入っているとうれしい」と素の表情をみせます。
最後は作道監督が「〈西野さんがまぼろしの映画があるらしいよ〉と口コミしてもらえるとうれしい」とお願い。笑顔で手を振るふたりをあたたかな拍手で包みました。
映画『君の忘れ方』
2025年1月17日(金)から、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、MOVIX八尾ほかで公開
■公式サイト:https://kiminowasurekata.com/
©「君の忘れ方」製作委員会 2024
配給:ラビットハウス