時は80年代。給食命の教師・甘利田幸男と給食マニアの生徒は〈給食をいかにおいしく食べるか?〉を日々静かに競っていた───飽くなき給食道を描いた食ドラの金字塔「おいしい給食」。テレビドラマ3シーズン、劇場用映画2本と作品を重ねるごとに熱烈なファンを増やし続け、再びスクリーンに帰ってきたっっ!! 映画『おいしい給食 Road to イカメシ』が現在公開中です。
6月2日(日)には公開記念舞台挨拶を大阪で開催。主演の市原隼人さん、綾部真弥監督、岩淵規プロデューサーが大阪ステーションシティシネマに駆けつけ、関西の“おい給”ファンと熱い交流を図りました。
今できるすべてを尽くして給食を食べている。
2019年10月にテレビドラマとしてスタートした『おいしい給食』シリーズ。1980年代を舞台に給食命の中学教師と給食マニアの生徒が織りなす“うまそげ”な対決を描いた、笑いと涙、そしてノスタルジックなおいしさが味わえる給食スペクタクルコメディです。その給食愛にハートを撃ち抜かれる人も多く、この日の舞台挨拶も子どもから年配者まで熱烈なファンで大盛況。登壇した綾部真弥監督は「(舞台挨拶で)8つの劇場をまわっていて、すべて満席で完売。ぼくたちは『劇場版 おいしい給食 Final Battle』がコロナの緊急事態宣言で打ち切られてから、おいしい給食という作品で劇場を埋めるのを目標にしてきました。今日はとてもうれしいです」と感謝の言葉を口にします。
熱烈なファンに支えられている作品とあって、舞台挨拶でもファンサービスを忘れません。公式SNSで事前に募集したファンからの質問に答えていくカタチで進行し、MCを担当した岩淵規プロデューサーが問いを読み上げていきます。
最初の質問は〈うまそげに給食を食べるシーンへのこだわり〉。主人公の甘利田幸男を演じる市原隼人さんは「給食を食べているだけなのに、気がついたら意識が飛んでいたくらい無我夢中で演じていた」と打ち明け、「笑わせたいのではなく、“笑われたい”がコンセプト。滑稽な姿を見せても、恥ずかしい思いをしても、好きなものは好きと胸を張って人生を謳歌し、子どもに対しても素直に負けを認める。そんな甘利田先生の姿を見て“もう少し毎日を楽しんでみようかな”と思っていただけたらうれしい。そのために、今できるすべてを尽くして給食を食べていました」と語ります。
そんな市原さんの演技を撮影した綾部監督は「市原くんに関しては、おいしく食べている瞬間を撮ることだけを心がけていました。こだわったのは相方となる子どもたちのことで、今回であれば粒来ケン。彼らがどういう表情で、どういうアレンジをしたら甘利田先生と盛り上がれるか、そこはいつもいろいろな手を考えながらやっています」と教えてくれました。
函館の豊かな土地と食がなければ、今作は生まれなかった。
今作の舞台となったのは北海道・函館。〈ロケ地で食べておいしかったものは?〉と聞かれると、「普段は節制しているのですが、(北海道ロケ)の移動日をチートデイにして、北海道の食を食べ尽くしました。朝早く起きて市場で海鮮丼を食べたあとにまだ足りないと思ってもう一杯食べ、さらに塩ラーメンも食べた。でもまだ足りないなと思い、アイスクリームをはさんでラッキーピエロという函館名物の店に行きました」と市原さん。北海道の食事にすっかり魅了されている様子で、「豊かな土地と食に囲まれた函館がなければ第3弾は生まれませんでした」と感謝します。
つづく〈ロケ先はどうやって選んでいるの?〉という質問には、岩淵プロデューサーが回答。「牛乳瓶がある地域を特定し、その近くでロケができる場所を狙っていく。牛乳瓶ありきでロケーションを決めている」と本作に欠かせないアイテムが選定のカギを握っていると明かします。
最近はシリーズの人気が高まっているため、〈うちの給食を取り上げてほしい〉という声もSNSで上がっているそう。岩淵プロデューサーも「“うちにこんなメニューがあるよ”など、おいしい給食を提案いただければ行くかもしれません」といっているので、自慢の給食メニューがある方は投稿してみてはいかが。
酔拳のアドリブに衝撃を受けた。
市原さん演じる甘利田先生は独特のコミカルな動きで笑いを誘いますが、その動きのほとんどは市原さんのアドリブなのだとか。〈見てほしいアドリブやカットされてくやしい部分はありますか?〉というファンの問いに「給食の(アドリブ)は8割くらいカットされているので、現場で見てもらいたいくらい」と市原さん。加えて今作の見どころも教えてくれ、「大原優乃ちゃん演じる比留川先生とのラブシーンがあります。おいしい給食らしいラブシーンで、なぜかイナバウアーをしていました(笑)。それもお楽しみください」。
シリーズの演出を長年務めている綾部監督は、『劇場版 おいしい給食 卒業』で登場した「酔拳」に度肝を抜かれたといい「台本には〈甘利田が酔っ払って校門に立っている〉としか書かれていなくて、打ち合わせをせずにテストをしたら、市原くんがいきなりフラフラしはじめたんです。これは酔拳だよな? と最初はみんな驚きましたけど、酔っている表現でこんなことをする人は誰もいないし、おもしろい。今回のRoad to イカメシでも見られたらいいなと思いました」と市原さんのアドリブ力を絶賛します。
おい給シリーズを愛しているファンは、次回作も気になるところ。綾部監督は劇場版2作のタイトルを挙げ「〈ファイナルバトル〉や〈卒業〉と閉店セールをつづけてきました(笑)。でも、本当にそのつもりで自分たちの全力をだし尽くしてやってきたんです。〈コメディかどうか、そんなことは知らん。ただ、本気でやれば必ず人の心を打つ〉という甘利田のセリフのように、おいしい給食をつらぬく。コメディだろうが、シリアスだろうが、どんなことでも本気でやれば絶対に人の心に届くという信念でシーズンを重ねてきました。つづきが見たいという方がいれば、ちょっと考えてがんばってみようかな」とうれしい期待をもたせてくれました。
『おいしい給食』という作品は、まっすぐな夢。
質問コーナーを終えると、来場者と記念撮影ができるファンサービス企画を実施します。その場で抽選し、当選者のシートへ市原さんと綾部監督が駆けつけて記念撮影。主演俳優と監督が客席を駆け回って撮影する距離の近さに、会場のファンたちは大喜び。各所で歓声が上がっていました。
大盛りあがりの舞台挨拶も終わりが近づき、最後は市原さんからのあいさつ。マイクを手にした市原さんは、自身の言葉で真摯に想いを伝えてくれました。
「本日は劇場まで足を運んでいただき本当にありがとうございます。2019年からはじまって約5年。なにかに振り回されながらも必死に人生を楽しもうと生きている甘利田先生を見て、みなさんの活力にしてもらえたらと思いながら撮影をつむいできました。
ぼくは約25年間、役者をやっていて、ビジネスと夢が混沌とする世界にいます。なんとしても夢をつかむのだという思いで芝居をしていますが、なかなか成し得ない、かなわないことも多いんです。
この『おいしい給食』という作品は、ぼくにとって“まっすぐな夢”。役者人生でこんなにもピュアな作品に出会えるとは思っていませんでしたから、とにかくお客さまに楽しんでいただきたい、ビジネスなんかクソくらえだ、正直にいうとそんな気持ちでこの作品をつくってきました。
コロナがあって、このシリーズも悔しい思いをしました。“エンターテインメントの力でお客さまになにかを与えられるのでは”と信じてやってきたことが全部くずれて、悔し涙も流しました。でも、作品の存在意義を改めて見つめ直すと、純粋にお客さまに楽しんでいただくことだけを考える作品であると迷いなく思えたんです。現場にいるすべてのスタッフも同じ気持ちでした。
作品は観ていただいたらお客さまのものになります。これからも末永くおいしい給食という作品をかわいがっていただけたら。あの日、あの時、あの場所に戻りたいなと思える場所が、おいしい給食の劇場であったらぼくはすごく幸せです」。
映画『おいしい給食 Road to イカメシ』
大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema神戸国際などで公開中。
公式サイト:https://oishi-kyushoku3-movie.com/
©2024「おいしい給食」製作委員会