最強の敵と最後の戦いへ───1985年に北条司さんが『週刊少年ジャンプ』で連載を開始した『シティーハンター』。単行本の累計発行部数は5,000万部を超え、TVアニメシリーズから約20年ぶりに復活した2019年の劇場作品は観客動員100万人を超える大ヒットを記録しました。そして、9月8日には待望の最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開! 現在、大ヒット上映中です。
公開翌週の9月17日には大阪・TOHOシネマズ梅田で舞台挨拶を開催し、冴羽獠役の神谷明さん、槇村香役の伊倉一恵さん、こだま兼嗣総監督が登壇。これまでのシリーズでキャラクターを演じてきたレギュラーメンバーと総監督による今だから話せるエピソードが飛び出し、集まったファンを大いに喜ばせました。
「もっこり」が辞書に載るまで、あとひと息!?
現在、大ヒット上映中の本作。今回の舞台挨拶にも満員のファンが詰めかけ、メンバーの登場を待ちわびます。そして、あの曲、TM NETWORK『Get Wild』にのって神谷明さん、伊倉一恵さん、こだま兼嗣総監督が登場。最初のあいさつで神谷さんは「俺の名は冴羽獠。都会に巣食う虫けらどもを掃除する、それが俺の仕事だ。誰かが俺に言った、俺には血と硝煙と薔薇の香りがよく似合うと。俺は都会のスイーパー、シティーハンター」とおなじみのセリフでファンのハートに火をつけます。
また、伊倉さんは「もっこり獠には100tハンマー! 今回もしっかりお見舞いしております」、こだま総監督は「前作に引き続き、もっこり総監督を務めました」と、シティーハンターではなくてはならないキーワード〈もっこり〉を連発。このセリフについて神谷さんは「自分がテレてはいけないと思って、とにかく明るく言い放った」そうで、冴羽獠が連発することによって世間にも明るく受け入れられていきました。ただ、神谷さんはまだまだ普及が足りないと感じているらしく「広辞苑にはまだ載っていない。〈こんもり〉まではいっているので、あとひと息です」と残念がります。
適役の声優たちのすばらしい芝居を見逃さないで!
前作『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の大ヒットを受けて、制作された今作。しかし、こだま総監督は「(前作の)次はないだろう」と考えてアニメーション以外の仕事に就いていたと告白します。「2019年か2020年ごろ突然にプロデューサーから電話があって〈やることになったから、よろしく〉と。そのときは違う仕事が忙しかったから断ったんですけど、〈オブザーバーでいいから〉といわれて、それならいいかと参加してみたらどんどんハマっていきました(笑)」。
伊倉さんは今作の制作を、神谷さんや原作者の北条司先生から教えてもらったといい「先にシナリオを読んでいる2人とも〈おもしろかった! でもね…〉というんですよ。なにかがあるんだろうなと思いつつわたしも読んでみたら、意味がわかりました」とシナリオを読んだときの衝撃を教えてくれます。その衝撃を神谷さんが具体的に説明してくれ、「大変なアクションシーンが多くて、これをどうやって映像にするの? というのがよぎりました。それに、敵役のみなさんの演技が大変で、とくに女性の役は〈どうやるのかな?〉と思いました」。
そんなむずかしい役を演じた声優たちを、レギュラー声優であるお二人は絶賛します。「ゲストキャラクターのアンジーはすごく大変な芝居を要求されていました。(声優の)沢城みゆきちゃんがすばらしいから、見逃さないでくださいね」と伊倉さん。神谷さんも「敵役のみなさん、さらにはひと言だけセリフをいうみなさんも本当にすばらしい。隅々に至るまで、一人ひとりの力を結集した作品で見どころがいっぱいあります」と自信をのぞかせます。
冴羽獠の過去に正面から向き合う使命感があった。
今回の劇場版のサブタイトルは「天使の涙(エンジェルダスト)」。これまでのシティーハンターでも重要なアイテムとして登場しているエンジェルダストを、今作では現代風に描いているとこだま総監督はいいます。「昔のテレビでは薬品が使われることに自主規制する部分があった。今回は映画だし、時代的にも映像より現実の方が進んでいるから少し解禁しました。それに、冴羽獠の過去やエンジェルダストについて、正面から向き合わなくてはいけない使命感もあって、このような展開になりました」。
そんなエンジェルダストをキーアイテムとして展開する今作について神谷さんは「獠の原点に迫るという表現もされますが、原作を読んだ方なら〈なるほど、こういう感じで迫ってきたのか〉と感じるつくりになっています」と漫画やアニメを観てきたファンが満足する物語になっているとアピール。もちろん、それらを知らないシティーハンター初心者でも作品のなかでわかるようになっているのでご安心ください。
今回は作品上映前の舞台挨拶。これから鑑賞される人たちに観てほしいお気に入りのシーンを問われると「香のトラップを避けるシーン」と神谷さん。さらに「前作の〈俺を呼んだのは君だろ?〉というキャッチコピーをセリフでどうしてもいいたくて。プロデューサーに相談して、今回入れていただきました。どこに入っているのか? ぜひ探してください」とお題をだします。
伊倉さんのおすすめもトラップから逃げ回るシーン。「100tハンマーなどのトラップにいろいろなテイストを入れています。流行りの和風テイストなどもありますよ」と今作の仕掛けを教えてくれます。
こだま総監督は「ゲストヒロインのアンジーをどういう風に設定しようかと非常に悩みました。スペシャルも含めて今まで150本近くのTVシリーズをやっているので、もはや新しいキャラクターはできないだろうと…。シナリオ会議でみんなで相談しました。いろいろおもしろいシーンを盛り込みましたので、ぜひ楽しんでください」と自信のもてるキャラクターに仕上がったことを伝えます。
次回作で大阪シティの登場…ないとはいえない。
つづいての話題は舞台挨拶の地である大阪について。野球ファンである神谷さんが「ぼくは最初にいいたかった。みなさん、〈アレ〉おめでとうございます!」と祝福すると、この日一番の拍手が沸き上がります。神谷さんは優勝決定の試合もリアルタイムで観ていたそうで、「感動しました。今年の阪神はドラマティックで、選手たちもいいですよね! 実は昔、オリックスの応援で京セラドームのイベントにでたことがあって、そのころの監督が岡田さんだった。その岡田さんが阪神で復活して、すばらしい采配をされた。今シーズンはとくに印象的でした」と野球トークが止まりません。
伊倉さんは、大阪といえばやはり食事のおいしさだといい、「昨日は鉄板焼きをいただいて、とってもおいしかったです」。また、大阪の観客も「拍手が大きいし、あたたかい感じがします」と笑顔で答えてくれました。
シティーハンターは、東京・新宿の街が舞台。こだま総監督も「新宿から出られないんですよ(笑)。今回はちょっと広範囲になって近くの都市までは移動していますけど」とシティーハンターと新宿のつながりを強調します。
そこでMCである読売テレビアナウンサー・山本隆弥さんが「(大阪の)梅田やなんばでカーチェイスはいかがでしょう?」とリクエストすると、神谷さんも「大阪もシティですからね」とすかさずフォロー。こだま総監督は「ないとはいえません。ただ、ぼくはかまわないのですが、プロデューサーという強敵がいますので」とシティーハンターの物語と同様になかなか攻略できない難敵がいることを教えてくれます。
大盛りあがりの舞台挨拶も終わりのときがやってきます。最後は神谷さんからこれからに向けての熱いメッセージが届けられました。「本日はたくさんのご来場をありがとうございます。みなさんの応援で今作ができあがりました。でも、ぼくたちの夢には続きがあります。もう一度〈あれ(次回作)〉を作り上げることです。そのためにも、この映画のすばらしさを多くのみなさまにお伝えいただきたいと思います。シティーハンター、これからも〈もっこり〉よろしくお願いいたします!」
『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』
TOHOシネマズ梅田、T・ジョイ梅田、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸などにて公開中。
公式サイト:https://cityhunter-movie.com/
©北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会