映画『トゥ・クール・トゥ・キル 〜殺せない殺し屋〜』 三谷コメディと中国コメディのステキなマリアージュ。

2008年に公開された三谷幸喜の作品『ザ・マジックアワー』を中国でリメイク。映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』が7月8日(金)から全国公開されます。

制作したのは、中国で人気の喜劇集団・開心麻花(カイシンマーファー)のメンバー。テンポのいい動きとツボをおさえたセリフで展開され、終始、声をだして笑えます。中国ではロングランヒットとなり、2022年中国映画興行収入ランキング第3位にランクイン! ようやく日本でのロードショーがかなった今、劇場で大笑いしてください♪

 

売れない役者がある日、伝説の殺し屋に!

三谷幸喜さん脚本・監督の映画『ザ・マジックアワー』をリメイクした本作。ストーリーは、『ザ・マジックアワー』をベースにしつつ、よりコミカルにアレンジされている印象です。

 

主人公は売れない役者・ウェイ。くどい演技しかできずに万年エキストラですが、何度失敗してもあきらめることなく俳優への夢を追い続けています。

他方では、大スターの女優ミランとその弟の映画監督ミラーがギャングに詰め寄られています。絶体絶命のピンチに陥ったミラン兄弟。窮地のなかでミランはある策を思いつき、売れない役者だったウェイを映画の主役として抜擢します。役柄は伝説の殺し屋・カール。夢見ていた大役を掴んだウェイは嬉々として殺し屋を熱演し、トゥーマッチで的ハズレな演技も不思議とシーンにハマっていきます。

しかし、ミランとミラーが画策した〈芝居計画〉はやがてノー・コントロールな状態に。それぞれの思惑が交錯するなか、ウェイたちは次々と予期せぬ展開に巻き込まれていくのです―――。

映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』の一場面

 

三谷コメデイと中国コメディは相性バツグン!

リズミカルな中国語のセリフ回しに少しオーバー気味な演出…、本作はじつに中国らしいコメディ映画です。しかし、全体に漂う雰囲気は三谷ワールド。三谷コメディと中国コメディ、とっても相性がいいのです。

 

脚本・監督を務めるシン・ウェンショをはじめ、俳優やスタッフの多くが中国の喜劇集団・開心麻花(カイシンマーファー)に所属。開心麻花は、圧倒的な人気を誇る中国No.1のコメディブランドで、舞台やテレビ、映画で中国国民を大いに笑わせているそう。その笑いのセンスが三谷作品とほどよく融和し、〈ドタバタとした中国のコメディ〉という枠を飛び越えたエンターテインメント作品に仕上がっています。

映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』の一場面

 

特筆すべきはスピード感のよさ。三谷さんの『ザ・マジックアワー』は136分あるのに対し、今作は109分。30分近く短くなっていて、各シーンはサクサク進みます。セリフや場面転換のテンポがよく、メリハリも効いていて、(いい意味で)あっという間。笑いあり、涙あり、ドタバタあり―――過不足なく、すっきり終わります。

個人的には、そこからのエンドロールが泣きどころでした。主演のウェイ・シャンは、映画内のウェイ・セイコウ同様に映像の世界では無名。本作が初の主演映画だった彼が、撮影終了時に感極まっている姿がとてもステキなのです。ぜひ、最後の最後まで見届けてください!

映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』の一場面

ちなみに、演じたウェイ・ショウ自身のストーリーと映画の内容が“リンクしている”ことは、中国のSNSで大きな話題になったそうです。反響を得た本作は、7カ月に渡って上映されるという異例のロングランヒットを獲得。興行収入は26.27億元(約533.8億円)を記録し、2022年中国映画興行収入ランキング第3位にランクインしています。

映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』一場面

 

映画『トゥ・クール・トゥ・キル ~殺せない殺し屋~』

2023年7月8日(金)より、TOHOシネマズ梅田、kino cinema神戸国際などで公開。

公式サイト:https://toocool-movie.com/

 ©︎New Classics Media

masami urayama

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