最近話題の〈デザインとアートの境界〉を正面から問う展覧会「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」。開館1周年記念展として、大阪中之島美術館で開催されています。(〜6/18まで)。
アートとデザインは、大阪中之島美術館の活動の両輪。本展では、それらの作品を並行的に展示することで〈デザインとアートの境界〉や〈重なりしろ〉を訪ねる試みを行っています。「これはデザイン?」「こっちはアート?」と、ひとつひとつの作品に対しての問いかけと答えを思いめぐらせて回るスタイルは、展覧会の新しい楽しみ方を提案してくれます。
デザイン? アート? 来館者が自らジャッジできる参加型展覧会。
たとえば、グラフィカルなイラストを観たとき、たとえば、美しい流線型の器を手にしたとき、これはアートなのか? デザインなのか? (はたまた工芸なのか?)自分のなかで悩んでしまうことはありませんか。
近年、話題にのぼることも多い〈デザインとアートの境界線〉。この永遠に答えが見つからなさそうな難易度の高いテーマに挑んだ画期的な展覧会が、「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」です。
本展の特徴は、参加型の展覧会であること。展示してあるひとつひとつの作品に対して〈デザイン↔アート〉の度合いを示すゲージが用意されており、鑑賞した来館者が自分の感性でその度合いを回答していきます。来館者が先入観をもたずに作品と向き合えるよう、通常の展覧会にある作品解説が省かれているのも新しい試みです。(詳細な作品解説は図録で読めます)
詳しい解説やデコラティブな装飾もなく、設置された作品をシンプルに鑑賞するスタイルによって、来館者は純粋に作品と対峙。それぞれをじっくり観て、これはデザインか? アートか?と考えられます。その行為はとても新鮮で、ワクワクしながら作品たちと対話できます。さらに、自分の感覚を再確認できるのも楽しい。 “商業用に制作されたポスターはデザインだと思っていたけど、改めて観るとアートに感じる”など、秘めていた新しい感性を見つけられたりします。
集計した結果は、展示室内にて公開。 “自分はアートだと思っていたのに、集計ではデザインのほうが高かった”なんていう視点の違いも楽しめます。
1950年から2010年まで、デザインとアートの時代をめぐる旅。
本展には、約70名の作家による約110点もの作品が展示されています。出品作家の名前をみても、会田誠、イサム・ノグチ、亀倉雄策、河原温、草間彌生、倉俣史朗、剣持勇、佐藤可士和、田中一光、永井一正、藪内佐斗司、奈良美智、名和晃平、早川良雄、日比野克彦、三宅一生、宮島達男、村上隆、元永定正、森村泰昌、柳宗理、ヤノベケンジ、横尾忠則(抜粋 五十音順)など時代を代表し、彩ってきたアーティストばかり。
デザインという言葉が一般的にはなじみのなかった戦後の1950年代から、素材や制作過程の多様化が進んできた2010年まで。日本のデザイン・アートの歴史をたどっていけるのも、この展覧会の魅力です。
企画構成を監修したパノラマティクス主宰の齋藤精一さんは、本展のテーマを「デザインとアートの境界や“重なりしろ”を見つけていく小さな旅」としています。
時代によって移り変わるデザイン・アートをめぐり、自分の感性に問いながらデザインか、アートかを考える。そんな〈芸術の小さな旅〉を大阪中之島美術館で楽しんでみませんか?
開館1周年記念展「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」
期間:2023年4月15日(土)〜6月18日(日)
開館時間: 10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
観覧料:一般1,600円/高大生1,000円
※中学生以下無料。
※障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。
展覧会の詳細は公式サイトをご覧ください。