展覧会「PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000」実物を体感し、改めて“hideって、誰?”を探ってみる。

X JAPANのギタリスト「HIDE」として、そしてソロアーティスト(hide with Spread Beaver / zilch)として、日本の音楽シーンに多大な影響を与えつづける「hide(ヒデ)」。1998年の急逝後もその存在や楽曲は色褪せず、多くの支持を集めています。

2023年はhideソロデビュー30周年、そして永眠から25年を迎えるメモリアルイヤー。現在、特別企画展『PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000』が大阪・大丸梅田店15階の大丸ミュージアムにて開催されています(〜4月10日まで)。

音楽はもちろん、衣装をはじめとしたアーティスティックな魅せ方をとことん追求したhideさん。その魅力にふれ、改めて“hideって、誰?”を探ってみてください。

 

約300点、すべてが実物! リアルなhideさんを感じ取れる。

2000年〜2005年まで、hideさんが生まれ育った神奈川県・横須賀市には「hide MUSEUM」が設立されていました。2021年には〈hide The 23rdメモリアルプロジェクト〉の一環として、新たな視点で再構成した特別企画展を東京・池袋や名古屋で開催。日本各地から多くのファンが詰めかけました。

そして、メモリヤルイヤーとなる2023年。この特別企画展の大阪開催がとうとう実現したのです。

特別企画展『PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000』 大阪会場の様子

 

館内の展示は、hideさんの〈多面にわたる魅力〉を体感できる5つのゾーンで構成。オフィシャルマネジメント事務所が管理・保管している膨大なアイテムの中から、hideさんが実際に着用した衣装や愛用したギター、直筆の歌詞など貴重な品々が約300点も出品されています。

そのすべてが「実物」。衣装であれば着用している写真も同時に展示されているため、ぬくもりや息づかいなど、衣装をまとったhideさんの姿をリアルに感じ取れるような気がしてきます。

大阪会場には、他の会場になかった衣装も展示されています。

 

また、今回の大阪会場には、東京・名古屋会場にはなかったアイテム(衣装5点、ギター2点)も展示されています。なかでも、1996年12月30日・31日に行われたX JAPANライブ“DAHLIA TOUR FINAL”のソロコーナー“HIDEの部屋”やフォトセッションで着用したビニールコート、hide with Spread Beaver名義での記念すべき第一弾シングル「ROCKET DIVE」の音楽番組出演などで着ていたラインパーカーセットアップは印象に残っている方も多いのではないでしょうか。個人的には、当時hideさんの衣装として異質に映っていたラインパーカーセットアップの実物と出会えたのはグッときました。

 

hideさんは、写真などのヴィジュアルづくりにもオリジナリティを存分に発揮したアーティスト。本展にも多数の写真が展示され、アーティスティックな装置のなかで唯一無二の個性を輝かせる、被写体としてのhideさんの魅力を存分に堪能できます。とくにhideさんを撮りつづけたフォトグラファー管野秀夫氏の作品群は圧巻。二人のコラボレーションがとても創造的だったことが伺えます。

そして、Last Session。

会場には特別な1枚が展示されています。静かに佇むその作品はただただ美しく、だからこそせつない1枚。 “彼の音楽をもっと聴きたかった”と、心からそう思ってしまうのはわたしだけではないはずです。

展覧会では、愛用ギターもずらり展示されています。

 

hideさんの大阪の思い出はインディアンカレー!?

本展の開幕を前にした3月15日(水)にはプレス内覧会を実施。hideさんの実弟で株式会社ヘッドワックスオーガナイゼーション代表取締役・松本裕士さんが登壇し、MCであるFM802 DJ・浅井博章さん、朝日放送テレビアナウンサー武田和歌子さんとのトークセッションが行われました。

 

hideさんのマネージャーでもあった松本さん。その経緯を問われると「父親からhideが大変だからボディガードになってくれといわれたのが入り口です。(hideさんは)本当に厳しい人でした。初日から〈言葉遣いがなっていない〉〈あいさつの声が小さい〉と安全靴で蹴飛ばされて。どこの寺に修行にきたのかってくらい厳しくて、3日ももたないと思いました」と振り返ります。

そんな厳しい状況でのスタートではありましたが、hideさんの創造を裏方として支えつづけた松本さん。大阪のライブでも忘れられない思い出があるそうで、「大阪城ホールでのライブのとき、(hideさんが)〈矢沢永吉さんのように客席から登場したい〉といったことがあります。現場にはhideの注文を何倍にもしてhideをおどろかせたいというスタッフばかり。リムジンも用意して、その願いを実現させました」と当時を懐かしみます。また、食の大阪にはhideさんお気に入りの食べ物があり、「インディアンカレーです。〈辛くてうまい! 大阪に来たら必ず食べたい〉といっていました」と明かしてくれます。

トークセッションでは、実弟である松本さんだから知っているエピソードを披露してくれます。

 

一人ひとりの思い出とともに楽しんでほしい。

今もマネジメント会社の代表としてhideさんと関わる松本さん。「ぼくたちはギターや衣装を“本人が生きているもの”として保管しています。30年前の衣装も劣化せずに保っているので、当時のファンだけでなく、新しいファンにも観ていただきたいと思いました」と本企画への想いを語ります。

約300点もある展示物のなかでのおすすめを聞かれると「これ!と挙げるのはむずかしい」としつつも、「1997年のX JAPAN 解散ライブで着た衣装。これは大阪会場で新たに展示しています。あとは、ギターのボディに書かれている直筆サインも。hide with Spread Beaverバージョンのもので、ぼくももっていません。これは(亡くなる前日の)5月1日に書いたものです」。

 

トークセッションの最後、松本さんは兄であったhideさんがどんな人物であったのか教えてくれます。「内弁慶なジャイアンでした。言葉でぐいぐいと周りを引っ張っていくタイプではなかったですし、運動も苦手で家にと閉じ籠もってプラモデルをつくっているような人でした」。内向的だったhideさんは音楽と出会うことで変化し、アーティストとして世界へも羽ばたいていきます。

「努力することで、人は変われる。hideはそれを実現した人です。(ファン)一人ひとりの思い出とともに、その姿を楽しんでいただけたら」。この松本さんのメッセージを胸に本展を鑑賞し、hideというロックミュージシャンを追体験する。そこからまた、新しいhideさんの世界が広がっていくのではないでしょうか。

会場では、hideさんの言葉とも出会えます。

 

「PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000」

期間:2023年3月16日(木)〜4月10日(月)

会場時間:10:00〜19:30(20:00閉場)

※最終日は17:30まで(18:00閉場)

会場:大丸ミュージアム〈梅田〉大丸梅田店15階

入場料(税込):特典付き入場料 2,000円(1,900円)/一般(中学生以上)1,500円(1,400円)

※()内は大丸・松阪屋のクレジットカード、大丸・松坂屋アプリ会員のサファイアランク、大丸松阪屋友の会カード、ブライダルサークル会員証をお持ちの方のご優待料金です。

※小学生以下無料。ただし、小学生以下のみのご入場はご遠慮願います。(18才以上の保護者のご同伴が必要となります)

展覧会の詳細は公式サイトをご覧ください。

公式サイト:https://www.psychovision.online/

masami urayama

関連記事