17世紀のオランダを代表する画家ヨハネス・フェルメール。修復されていた初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》が、所蔵館以外で世界初公開される特別展「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が大阪市立美術館にて開催中。（〜9/25まで）
開幕前日に行われた内覧会には音声ガイドを担当した女優の小芝風花さんが来場し、作品の印象や音声ガイド収録での苦労話などを教えてくれました。
真実のフェルメールには、壁にキューピットがいた。
ヨハネス・フェルメール（1632~1675年）は、オランダのデルフトに生まれ、人々の暮らしを題材に緻密な筆遣いで美しく洗練された作品を残した画家。穏やかな光の表現を用いることから〈光の魔術師〉とも称され、過去にブームが起きるほど日本でも高い人気を誇っています。
そのフェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》は、1979年にX線調査が行われて上部の壁面が塗りつぶされていたことが判明。さらなる調査では、画家本人ではなく何者かによって上塗りされていた事実もわかります。
作品を所蔵していたドレスデン国立古典絵画館はフェルメールが制作した作品を正しく伝えるため、大規模なプロジェクトを立ち上げて修復をスタート。2020年5月に修復を終えると、壁の部分に弓を手にしたキューピットがその姿を表しました。
この“真実のフェルメール”が、所蔵館以外で公開されるのは本展覧会が世界初。蘇った作品は日常の風景を光と影で美しく描くフェルメールらしい魅力にあふれ、色鮮やかさにも目を奪われます。展示では修復プロフェクトの過程も動画やパネルで紹介しているので、そこをしっかり見たうえでの鑑賞をおすすめします。
また、本展はドレスデン国立古典絵画館が所蔵するレンブラント・ファン・レイン、ハブリエル・メツー、ヤーコプ・ファン・ライスダールなどオランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品も多数展示。それぞれに画家たちの個性が宿り、当時のオランダの風俗も感じられて興味深いものになっています。
女優の小芝風花さんが登壇。「音声ガイドといっしょに作品を鑑賞して」
開幕前日の7月15日に行われた内覧会には、音声ガイドを務めた女優の小芝風花さんが登壇。
「音声ガイドの収録の時は、みなさんそれぞれが作品に抱く思いや感想を邪魔しないように、自分の感情を押し付けないように気をつけました。無機質になりすぎずに話すということが、少しむずかしかったです。
《窓辺で手紙を読む女》は、修復前と修復後との印象が全然違いました。隠れていたキューピッドも、こんな鮮やかな色で描かれていたんだと思い、私は修復前も後も両方好きです。作品に描かれている、窓に映っている女性の横顔が手紙を読んでいる女性本人ではなくて、おばあさんのような気がしたので、手紙の内容が悲しい事や訃報が届いたのかと思いました。でも、修復後の“キューピッド”が現れた作品を見たら、このお手紙はラブレターかな？ と印象が変わりました。
絵画に詳しくなくても、音声ガイドを聴きながら作品を観ると新たな“気づき”もあって展覧会が楽しめます。ぜひ！ 音声ガイドもご利用ください（笑）」とコメントをいただきました。
※音声ガイド貸出料金：1台600円（税込）
1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Wolfgang Kreische
特別展「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
期間：2022年7月16日（土）〜9月25日（日）
開館時間： 9：30〜17：00
夜間開館：9月3日、10日、17日、23日、24日 9：30～19：00
※入館はそれぞれ30分前まで。
休館日： 月曜日（8月15日、9月19日は開館）
会場：大阪市立美術館（天王寺公園内）
入場料（税込）：一般2,100円／高大生1,500円
※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方（付き添いの方は1名含む）は無料（要証明）。
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土日祝、8/12、8/15、9/20〜9/22のご来場は「予約優先制」。平日は予約不要です。
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詳細は公式サイトをご確認ください。
