展覧会「庵野秀明展」 自身をつくったものと、自身がつくったもの。そのすべてがすさまじい!

社会現状を起こしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を世に送りだした監督でプロデューサー、そんな説明は不要なほど世界にその名を轟かす庵野秀明。何者にも凌駕されない唯一無二の想像力をもつ庵野さんは、どのようなものに影響され、どのように創作していったのか。原点をたどり、未来へとつながる展覧会「庵野秀明展」が大阪・あべのハルカス美術館で現在、開催中です。(〜6/19まで)

庵野さんが大学生活を送った大阪での大規模個展。1,500点のすさまじい熱量に圧倒される快感をぜひ!

  

庵野秀明の過去・現在・未来を紐解く展覧会。

庵野秀明さんに関わる資料や作品が展示された本展。会場に足を踏み入れると膨大な情報が溢れており、その熱量に圧倒されます。それら展示物には、いたるところに庵野さんの遺伝子が息づいており、ファンとしては心躍らずにはいられない展覧会になっています。

 

展示は5章で構成されますが、大きくは〈庵野秀明をつくったもの〉〈庵野秀明がつくったもの〉〈そして、これからつくるもの〉としてわけられ、庵野さんの過去・現在・未来をたどっていく流れ。

最初のエリア〈庵野秀明をつくったもの〉では、『ウルトラマン』や『仮面ライダー』など庵野さんが少年時代に楽しみ、影響を受けたアニメや特撮の映像や小道具たちがずらり。また、機械のメカニズムに関心をもつキッカケとなった生家のミシンも展示してあり、庵野少年が多方面に興味を抱いていたことがわかります。

つづく〈庵野秀明がつくったもの〉では、アマチュア時代から現在までの作品を時系列で展示。庵野さんが大阪芸術大学に在学していたことは知られていますが、この時期の作品のクオリティの高さに改めて驚かされます。とくに大阪で開催された日本SF大会「DAICON Ⅲ」のオープニングアニメーションは必見! すでに〈庵野秀明のアニメ〉が完成されています。

庵野少年に多大な影響を与えた『ウルトラマン』の貴重なスーツも展示。

 

エヴァがエヴァになっていく過程も見られる。

〈庵野秀明がつくったもの〉では、アニメーター時代に手掛けた作品たちの資料も豊富に展示。なかでも目を引くのが宮﨑駿監督『風の谷のナウシカ』の巨神兵のシーンです。下書きやメモから名シーンが生むためのものづくりの現場の息づかいを感じられるだけでなく、宮﨑監督との微笑ましいやりとりも垣間見られてうれしくなります。

 

会場をさらに進むと、アニメーターから商業作品の監督へと進んだ時代へ。『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』を手掛けたのち、いよいよ『新世紀エヴァンゲリオン』の登場です。

本展でもエヴァンゲリオンはボリュームのある展示がされており、多面的なアプローチでディープなファンはもちろん、ライト層でも楽しめるようになっています。また、設定画やデザイン画からは制作過程がうかがえ、試行錯誤を繰り返しながらエヴァがエヴァとなっていったことがわかります。

 

未来をテーマとした「そして、これからつくるもの」では、“ぼくがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい”という思いで庵野さんが設立した「ATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)」の活動をはじめとした、次世代への継承に向けたプロジェクトを紹介。さらに、映画『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』など最新の仕事もチラ見せしてくれます。ちなみに、本展の音声ガイドのナビゲーターは『シン・ウルトラマン』で主人公・神永新二を演じた斎藤 工さんと『エヴァンゲリオン』シリーズ 赤木リツコ役の声優・山口由里子さん。本展をより楽しむためにも、音声ガイドとともに鑑賞することをおすすめします。※貸出料金600円(税込)

 

「庵野秀明展」

期間:2022年4月16日(土)〜6月19日(日)

開館時間:10:00〜20:00 (火〜金)/10:00〜18:00 (月・土・日・祝)

※入館は閉館の30分前まで。

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会期等の変更や入場制限を行う場合があります。

休館日:4月18日(月)、5月9日(月)

会場:あべのハルカス美術館

入場料:一般1,900円/大高生1,400円/中小生500円

※料金は全て税込。

展覧会の詳細は公式サイトをご覧ください。

公式サイト:https://www.annohideakiten.jp/

masami urayama

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