“へたくそだけど私らしく生きる”等身大の女性をリアルにつむぐ(not)HEROIN moviesシリーズ第一弾である映画『わたし達はおとな』。近年、高い注目を集めている演出家・劇作家の加藤拓也氏が満を持して長編映画監督デビューを果たした今作は、20代の恋愛をリアルに、そしてヒリヒリと描いており、心の中のさまざまな場所が刺激されます。
そんな注目作が大阪で世界初上映。会場となったテアトル梅田に主演の木竜麻生さんが駆けつけ、一般のお客さまにはじめて観てもらう喜びを語りました。
最初に脚本を読んだとき、本当におもしろいと思った。
映画の上映前に登壇し、「しゃべりたい気持ちはすごくあるのですが、見る楽しみを奪わないようにしたいと思います」という木竜さん。少し緊張しながらも、「ちょうど去年の今頃に撮影していた作品。一年越しでみなさんに観ていただけるのはとてもうれしいです」とあいさつします。
今作の出演については、「脚本を読ませていただいたとき、本当におもしろいと感じました。すぐに〈やりたい〉と伝え、加藤監督にお会いしました」と役が決まるまでの経緯を教えてくれ、さらに完成作に対しては「最初に脚本を見たときに純粋におもしろいと感じていたとおりの、空気感のある映画になっていた」と喜びを語ってくれます。
また、ここまで恋愛がメインとなった作品にはじめて出演したそうで、恋愛に惑わされる登場人物たちを「いいなあ」とうらやましく思う部分もあったそう。「この映画にはヒリヒリするものがありますが、誰かを好きになったり、誰かに好きになってもらったりするときって、苦しさとともに、それを忘れるくらいに楽しいこともあったりすると思うのです。(優美を演じることで)そういうことを体感できて楽しかったですね」。
リアルなセリフを違和感なく発する、そこに神経を使った。
撮影で大変だったことを問われると、「セリフが本当に普段の話し言葉みたいで。(監督・脚本の)加藤さんの書いた言葉を違和感なく発することができているのか、最後まで嘘がなく演じられているか、そこは神経を使っていたのでちょっと大変でしたね」と等身大のリアルな女性を表現するむずかしさを語ってくれます。
『わたし達はおとな』というタイトルからも感じられるように、今作の登場人物は20代の大人と子どもを行き来するような年代。司会者から〈登場人物たちは、大人・子ども?〉と聞かれると、木竜さんは「大人といわれる年齢を超えたけど、何かが成熟しているわけではなく、すごく曖昧なところにいる人たちの話だと感じています。カテゴライズできない中間値というか…。私はそういう曖昧な名前のつけられないところを描いているのが、この映画好きなところです」と回答。さらに、〈自身が大人だと感じることは?〉という問いには、「ひとり呑みができるようになったこと。ひとりで自分の時間を楽しめるようになったとき、“わたしも大人になったんじゃない?”と思いました」と教えてくれました。
恋愛がメインだけど、女の子と男の子の日常の映画。
映画『わたし達はおとな』は6月10日から全国公開され、関西地域では6月17日(金)からテアトル梅田などで公開されます。今回の5月24日(火)テアトル梅田の先行上映は、一般のお客さまに世界ではじめて観ていただくワールドプレミア。
そんな記念すべき日の舞台あいさつで、みなさんへのメッセージを求められた木竜さんは、「恋愛が大きく描かれていますが、わたしは日常の映画だと思っています。ひとりの女の子と男の子、友だちや家族がいる暮らしのなかで起こるいろいろな出来事、そういうものが垣間見られます。映画を観て、〈好きだな〉でも、〈嫌いだな〉でも、なんでもいいので何かを感じてもらえたらいいなと思っています」と締め、記念撮影にも笑顔で応えていました。
映画『わたし達はおとな』
2022年6月17日(金)より、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、アップリンク京都
6月24日(金)より、シネ・リーブル神戸などで公開。