森岡隆三×江添建次郎 SPECIAL TALK

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選手も、コーチも、JFLもワールドカップも!
サッカーの楽しさに、果てはない。

 

関西のJクラブでも活躍し、キャプテンシーあふれるプレーでスタジアムを沸かせた。

最終ラインからの力強いコーチングは、選手たちを鼓舞しチームを奮い立たせた。

現役を引退した今も、その情熱は変わらない――

共通項も多い二人のセンターバックが、今年、佐川印刷京都サッカークラブで邂逅する。

コーチとしてサッカーに向き合う二人に、4つのテーマで、熱い思いを語ってもらった。

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森岡 隆三 氏

佐川印刷京都サッカークラブ、ヘッドコーチ(京都サンガより派遣)。

1975年生まれ。鹿島アントラーズ、清水エスパルス、京都サンガでプレー後、2009年京都サンガコーチに就任。2014年より佐川印刷京都ヘッドコーチに。現役時代は日本代表メンバーとして活躍し、2002年日韓ワールドカップにも出場した。

江添 建次郎 氏

佐川印刷京都サッカークラブ、コーチ。

1982年生まれ。桃山学院大学ではユニバーシアード優勝を経験。セレッソ大阪、カターレ富山でプレー後、2012年から佐川印刷京都でプレーし、2014年から同コーチに就任。セレッソ大阪時代から闘志あふれるCBとして若手を牽引してきた。

 

 

テーマ1「ふたりの関係」

対戦相手だった現役時代、チームメイトの今。

 

――まずは、お二人の関係から…

江添:その質問、難しくないですかっ? 今年が初対面ですから…

森岡:ちゃんと会って話をしたのは今年のはじめの…いつだ?

江添:ここ(佐川印刷京都)の事務所に来られた時ですね。

森岡:第一印象、男前だなって。びっくりしたもん。もちろん、それまでも知っていましたけど、イメージよりも凛々しい感じ。

江添:ありがとうございます。

森岡:…そんな感じでいいですか?

江添:あとでコーヒー…ですかね(笑)俺ももちろん知っていましたが、性格や人柄が、逆にすごい人だなって。

森岡:逆に?

江添:もっと怖いのかなと思っていたんですけど、逆にすごくフランクで、プラス頭が良くて。すごい人だって思いました。

森岡:…だそうですよ!

 

――現役時代、直接対決はありましたか?

森岡:しているんだかしていないんだか。

江添:俺、清水エスパルス戦は1回しか出てないですから…セレッソ大阪・京都サンガ戦ならもしかしたら…

森岡:2007年、今をときめく香川と柿谷にやられた試合だ。

江添:あ、マジですか。(柿谷)曜一朗その時出てました?

森岡:出てたよ。西京極で2-2、最後の最後で追いつかれたんだよ。香川のスルーパス、柿谷のゴール、ああ、悔しい。

江添:DFは攻撃の選手が相手だから、対戦相手のDFってあまり意識しないんですよね。

森岡:セットプレーで闘莉王をマークするとかあるけど。そうだね。思い入れのあるマッチアップって、FWが多い。

 

――マッチアップして、どんなタイプのFWがいやでしたか?

森岡:いつも貪欲に来るFW。ゴンさん(中山雅史さん)とか。プレーのレベルが高いのはもちろんだけど、最後まであきらめない、マイボールになるまでねちっこく追いかけて来る、ちょっとでもこっちが油断したらぎりぎりのところでゴールを決める。気の休まるところがまったくないのはやっぱりしんどい。かと思えばエムボマみたいに90分の中で89分消えていても、いつの間にかそこにいて、ボールが渡って決められるというのもいやだな。

江添:いやー、俺も一緒です。隆三さんの感覚と似てます。佐藤寿人さんなんかもいやですよ。一発をずっと狙ってる。そうするとこっちは90分ずっと気をはっていなきゃいけない。かと思うと、普段はゆっくりしててもこぼれ球を一発で決めちゃう選手って、やっぱりいるんですよ。それはそれでたまったもんじゃない。こっちが89分頑張っているのに、残り1分でかっさらってヒーローになるんだから。

 

――では、DFの魅力は? 大変なポジションのようですが…

森岡:楽しさしかないよ。

江添:さすが。

森岡:DFの喜び…何だろうな、いい時は、相手のボールでも常に自分たちがコントロールしている感じになれるというか。

江添:そうですね…言い方が難しいですね…

森岡:ゴール前っていう責任あるポジションを任されているわけだから。FWを抑えるというのは単純に楽しいし、ボールを持っていない時の駆け引きもすごく楽しい。

江添: 隆三さんもそうですが、俺も後ろから指示出したりするタイプだから、うまくいかなかったら自分の責任くらいの勢いでやってる。逆に、ボールは触っていなくても、いい時にはうまくゲームをコントロールできている感があります。そういう面白さは、DFならではですよね。

 

――お二人はこちらのクラブが初対面ですよね。普段はどんなお話をされているんですか。

江添:基本、サッカーの話ですね。

森岡:(佐川印刷京都の)練習で、今日はあんまり選手に気持ちよくパスワークさせてやれなかったよなー、いかんなー、という話をふってみたり。

江添:俺はコーチになって初心者なんで、隆三さんの指示を見たりすることがすごく勉強になっています。その中で、サッカーの話をしていたら感覚が一緒だったりするので「いいな」と。選手時代、いろいろな人とDFの話をしましたが「それ、わかるわ~」っていう人、なかなか出会わないわけですよ。でも隆三さんと話していて「今のプレーはこうですよね」「この練習はこういうことですか」ってちょっと聞くと、自分が思っていることと一緒のことが返ってくる。「いや、わかるわぁ~」。(一同笑)。ああ、一緒の感覚でやれているなと思うと、自信になるじゃないですか、代表でやってた人ですし。

 

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テーマ2「コーチの仕事」

選手とコーチ、サッカー的にはどう違う?

 

――お話にも少し出ました、コーチの仕事についてですが。

森岡:まあ、もちろんですけど監督のサポート。監督の描くサッカーをぼくらが理解して、どう選手に伝えるかですよね。そんな中で(佐川印刷京都)辛島監督は、たとえば練習の時に「隆三、フィジカル1時間頼むよ」って任せてくれるんです。さっきエゾが話してくれましたけど、辛島監督もDFの話をすれば「ああ、そうですよね」って共感するところが多いわけですよ。3人ともCBだったのもあるかな。今年会ったばかりだけど、そんな中でも共通に理解しながらやれています。これはとても幸せなことだなと。

江添:俺は(コーチは)今シーズンからなので、勉強することが多いですが。イメージとしては、監督はチームをつくることに専念し、コーチは選手もつくっていく立場なのかな。監督の意図を伝えるとともに、選手の意見もくみ取り、さらに選手を伸ばすというか、幅を広げてあげるというか。

森岡:自分たちが培ってきた知恵みたいな部分を気づかせてあげるというか、ぽんと渡してそれをうまく使ってくれりゃいいなって感じですよね。でも、全部が全部みんなに合うわけじゃないですから、その選手に合うようにいかに伝えるか。言葉がけひとつにしても、こっちから言わなきゃいけない選手もいれば、たまに向こうから聞いてくるくらいのスタンスの選手もいる。そのへんが面白いところですよね。

江添:考えてみれば、俺たち、これまですごい経験してきているんです。いいFWとも対戦しているからシュート上手い選手がどんなのかっていうのも感覚的にわかってるし、だからDFはこういう技術があればいいっていう感覚も持っている。そこを上手く伝えることで選手が伸びてくれたら面白いでしょうね。でも、何をどこまでどう伝えるかが難しい。選手時代はプレーの中で雰囲気的に伝わるところもあったんですが、コーチは言葉がけが中心だから。隆三さんはどうしているのか、まずは見て学んでいます。

 

――当たり前ですが、選手とコーチって違うんですね。

森岡:サッカーの見方が絶対的に違います。元選手で、コーチになって数年経った人と会うと「何でもっとこういうふうな目線でサッカー見れなかったかな」ってみんな言いますよ。「今がいちばんサッカー上手い」って(笑)。選手の時は、なかなかそういう見方ができないんです。ぼくも、体力勝負よりも頭使うタイプのDFだったけれど、それでもゲームを自分とボールとの関係で見てしまうところが多かった。でも、コーチは真逆から見る。そうすると、違う世界が見えてくる。ただ、辛島監督もそうですけど、選手経験があると現場でどういうメンタルだったかわかるんですよ。「もっとプレッシャーかけたいけれど、あの選手はスピードがあるから怖い」とかね。その本能も大事にしてあげたい。でもコーチとしたら、メンタルと状況のギャップを縮めなければいけない。「FWとこれだけ距離がある。もしかしたら後ろが怖かったかもしれないけれど、この状況ならここ行けるんじゃないの」って。両方の目線でアプローチできるっていうのは、ぼくらの武器でもあるかな。ただ、今の段階では、指導者目線の感覚をもっとあげていかないと。

江添:コーチとしては、そういう目線が必要なんですね…。現役の時は、そういうふうには考えていなかった。「ビデオ見てそれ言われても」「その現象だけ抜かれても」っていう感覚がありましたから。でも、その選手の気持ちと状況のギャップをうまく見れたら、それは最高にいいことだなと思います。いや、今の話、勉強になります。

 

――では、コーチの魅力。

森岡:そうですね。選手であることの特別な幸せっていうのはもちろんあります。でもサッカーっていうのを他の角度から眺めると、まあ、楽しいですよ。去年は京都サンガのコーチだったんですが、試合を見ていると選手の時より疲れるんです。勝っても負けても、びっくりするくらい疲れる。でも、自分が伝えてきたことがいいプレーにつながったり結果につながった時の喜びは、すごいよ。自分がずっと見ていた選手が試合に出て活躍してくれたら、もうなんにもいらない。その喜びは、自分が選手で活躍していた時の実感と、種類はまた違うんです。ただ、思い返せば楽しかったシーズンは選手として上手くなっている時。そしてどんどんサッカーを好きになっている時期なんですね。今、コーチになって、サッカーを、選手っていう枠をとっぱらってより広く見えるようになって、なんかどんどんサッカー好きになっています。そこが楽しいかな。うーん、名言ですか?(笑)

江添:俺の場合、現役の頃ってコーチの存在が一番大きかったんじゃないかな。コーチは、自分のプレーを全部見てくれていますからね。練習も見てくれるし、一緒に喜び合ってくれるし。選手にとってすごく大事な存在。だから、そういう意味ではすごい楽しくなるんじゃないかなってイメージしています。ひとつのプレーでも、日々の練習でコントロールしていたものをゲームで出してくれたりしたら嬉しいだろうな。「それやってー!」って、叫んでいるかもしれない(笑)

森岡:それが監督になると、責任と重みがもっと違ってくる。みんなを率いているわけだから、負けたら今のぼくが思うよりもはるかに悔しいでしょうし。でも勝った時にはとてつもない喜びでしょうね。だから、まあ、果てがないですよね。サッカーのそういう楽しいところをひろっていくとね。

 

――影響を受けた指導者はいますか?

森岡:自分にとってサッカーがより楽しみに変わっていくところでは、常にそういう方がいました。サッカーの基礎では、桐蔭学園高校の時の李監督。ぼくを清水エスパルスに呼んでくれた宮本監督には、プロの厳しさを教わるとともに活躍の舞台も与えてもらった。アルディレスとペリマン(元清水エスパルス監督)の時代は、練習に行くのが楽しくてしょうがない数年間でしたね。サッカーって、改めてこんなに楽しいもんなんだと。試合に出ていなくてもグラウンドに行くのが楽しくて…理想ですね。あとは、代表にはトルシエに呼んでもらって、改めてDFの駆け引きの醍醐味をやれたのも良かった。

江添:トルシエは大きかったですよね、日本のサッカーにとって。特にDFでああいうふうに守るって、あれを見ていて俺もDFで活きる道が見つかったような気がしました。

森岡:それまでのDFって、どちらかと言うと次藤くんみたいな…。

江添:日向には次藤でいくしかないっていう…ディープすぎます(笑)※「キャプテン翼」のお話です。

森岡:柔と剛でいえば、それまで剛のほうだったのが、柔の部分でもうまく守りましょうっていう感じにちょっとなりましたからね。もちろん、最後の最後で戦わなきゃいけないところは戦うし、両方兼ね備えれば一番なんですけど。剛の部分を良くしながらも、より柔の部分を伸ばすっていうサッカーでしたからね。ただ、それで出られない選手もいるわけだから、選ばれたからにはちゃんと結果出さないと、という思いはいつもありました。

江添:そうですね。そういうの、ありますね。

森岡:ぼくも「なんであいつが」と思われていた時期ありますからね。突然使われて、まわりから冷ややかな目で見られて。そこを踏ん張って、認められたい一心でやるんですけど。まあ、でも、そうだな、選手による人気投票のトップ11とかトップ18がメンバーインするっていうのがいいですよね。チームメイトが「こいつとやりたい」と思える選手が試合に出る。そういのが理想です。

 

――では、佐川印刷京都のコーチになられて、いかがでしょう。

森岡:チームが違えば環境が違いますから、ぼくにとっては新しい世界です。そういう意味でとまどってばかりでもいられないから…(江添コーチに)いつも頼りにしていますよ。

江添:そうですね、そうですね、(森岡コーチは)大変やと思います。俺はここで社員として選手経験もありますが、隆三さんは特別にコーチとして来てもらっていますから…

森岡:頼りにしてますよ! まあでも、ここの選手たちは、すごいです。本当に心から敬意を表します。朝早く来てちゃんと準備して、練習が終わったら仕事して。だから、精神的にすごくタフだし、責任感も相当培われている。それは、ピッチの中で端々に出てきますからね。最後まで諦めないところとかも含めて。だから、そこの頑張りを少しでも結果に結びつけられるような働きかけをできればと思ってやっています。練習も短時間なんで、ちょっとでも何かを感じてもらえることをしたいですね。

江添:俺も2年間ここ(佐川印刷京都)で一緒にプレーしましたけど。企業クラブは消滅の可能性があるんです。それは、すごいプレッシャーですよ。常に「絶対に負けちゃいけない」って危機感を持ってプレーする。だから、自分さえよければいいって考えは、このチームにはない。試合に出る選手には「頼むから頑張ってきてくれ」っていう感じです。この2年間、このチームは、すごいチームになれると思ってきた。だからそこは活かしつつ、Jを経験した監督・コーチ・選手の目線をプラスして、足りないものを吸収して欲しい。せっかくコーチに日本代表だった人がいるんだから、その感覚をぱっともらって、すぐ表現して欲しいな。それだけ伸びしろはあると思います。

 

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テーマ3「関西サッカー」

SPK24で、見に行きたくなるサッカーを。

 

――関西以外のJクラブでもプレーされたお二人ですが、関西サッカーの印象は?

森岡:メディアでの露出はあまり多い方じゃないですね。ただ、関西には(Jリーグ・JFL・KSLだけでも)これだけ多くのクラブがある。子どもたちも含めて、すさまじいくらいサッカー熱はあります。だから、もっと盛り上がれそうだなというのが個人的な印象です。ただ、メディアを通してサッカーっていうものを求めてないのかな。サッカーは好きだけど、プロのサッカーには興味ないというか。

江添:それ、あります。めっちゃあります。関西と、他の地域と違うところ。

森岡:みんなサッカー好きなんだから、それが何かリンクした時にはすごい力が生まれるんじゃないかな。それこそ、関西のサッカー界だけが発展するんじゃなくて、そこからいろんな人を巻き込んで、いろんなところに笑顔や元気や希望が行くような。まあ、そのためにもメディアの部分が大きいかな。とはいっても、テレビでお笑いの枠を減らしてほしくないし。

江添:それ、ありますね。深夜番組にはお笑いがないと。俺も、桃山学院大学・セレッソ大阪と関西が長かったんですが、カターレ富山に移籍した時、関西と富山のテレビ番組の違いに衝撃を受けました。

 

――お笑いも大事ですが、サッカーどうでしょう?

江添:関西って、他の地方都市と比べると、人口に対してのファンの割合が圧倒的に違いますよね。興味あるものがあふれている中で、サッカーを選ぶ人が少ない。でも、AKBと一緒じゃないですか、会いに行けるプロ。それくらいの勢いでやれば、何か起こるはずだと思うんです。セレッソ大阪なんかメディアにばんばん出だしたから、(柿谷)曜一朗とか(山口)蛍とか、若い選手が注目されてセレ女も増えた。CRZ(CEREZO)23みたいな(笑)

森岡:メディアとのつながりは本当に大きいですね。まあ、どういう状況であれ、ぼくたちは人の心が動くようなものを見せていかないといけないのですが。でも、パフォーマンスもメンタルも本当にいいクオリティでやってるんだから、見てもらわないと、っていうところはあります。見られて伸びていく選手もいますからね。見られることで、責任感も増しますし。そういう意味では、セレッソ大阪はキンチョウスタジアムも良かったんじゃない?

江添:良かったですね。やっぱサッカー専用スタジアムってぜんぜん違いますね。

森岡:京都サンガも球技専用スタジアムができますし。JFLだと陸上競技場だったりするんだけど、その中で、佐川印刷京都…だったら何24にする?

江添:SPK(SAGAWA PRINTING KYOTO)24?(笑)

森岡:SPK24で、よく言う「負けてももう一回見に行きたいと思える」ようなものを常にやり続けるべきだし。お世辞抜きで「見に行きたい」と思えるチームになっていけばいいですよね。まずは佐川印刷の社内の人だな。成功するかしないかを決めるひとつは、身の回りの人が応援したいと思うチームかどうかだから。

 

――社内では、選手のみなさんも他の社員の方と一緒にお仕事されているんですか?

江添:そうです。だから選手は、ちゃんと人間力鍛えて、ちゃんとコミュニケーション取るようにって、職場でもずっと促されています。プロの監督やコーチとしては、選手はサッカーに専念させたいというのがあると思いますが、俺はいち社員として、この佐川印刷京都サッカークラブというのをつくっていかないといけない。そう考えると、社内での振る舞いもひとつの仕事としてやれば、いろいろ根づくんじゃないかなと。そしてそれは、これからチームが大きくなっていくための足掛かりにもなるのかなと思いながらやっています。ちょっと社員目線になっちゃうんですけどね。

森岡:何でもいいから、まわりの人が応援したいと思えるものを出せるかどうか、そこは大事ですね。何でもいい。イケメンもそうだし、あと、やたら頑張るとか、やたら明るいとか。もちろんそれを最大限に出さなきゃいけないのはピッチの上。あとは結果が左右するわけだけど。少しでもサッカーを好きになってもらえるようにね。選手にも、見てる人にも。

江添:うん。

森岡::楽しんでもらえるように。で、自分がさらに楽しめるように。それ以外ないですから。それをどれくらいやれたかで、勝敗もついてくると思っています。

 

 

テーマ4「ワールドカップ」

楽しさ無限大。もう、睡眠不足でいい!

 

――今年は、そのサッカー好きにとって特別な年です。

江添:ワールドカップ。

森岡:楽しみですよね。

江添:そりゃだって(森岡さんは)経験者ですから。ワールドカップ経験してるんですよ⁉

森岡:サッカーの国ブラジルで開催されるワールドカップ。そういう意味でも楽しみだし、日本が出るのもより楽しみだし。どこまでいけるのか、夢を膨らませて欲しいですね。

 

――森岡さんはワールドカップ日韓大会にも出場されましたが、代表選手って、やはり相当プレッシャーありますか?

森岡:人によるかもしれないですけど、個人的にはあんまり…。ピッチに入れば関係ないですよ。でも、すごいだろうな。去年のコンフェデレーションズカップ(W杯開催国で前年に開かれる国際大会)でも、ブラジル対スペインの決勝はすごかった。あの、最初の国歌聞くだけでもOKでしょう。ああ、これがブラジルだって。テレビでもあれだけ迫力があるんだから…

江添:現場で感じたらヤバいんやろうなぁ…

 

――海外のサッカー環境は、また違いますか。

森岡:そうですね。スペインリーグを見に行くと、カンプノウ(FCバルセロナのホームスタジアム)のゲームもいいけれど、下のカテゴリのゲームもすごく楽しい。3部の試合なんかに行くと、サッカーがもっと好きになるんじゃないかな。客層がね、お爺ちゃんが多いんです。孫を連れて来てたりしてね。で、そのお爺ちゃんが、試合を見ながらすごい声で叫ぶんだ。ちょっとでも味方の選手に何かあったら黙っちゃいない。すごいよ。そういう環境で育ったらたくましくなるかなって。おこがましいけど、いちサッカー人として、一人でも多くの人がそういうふうにサッカーに興味を持ってもらえたらいいなと思うよね。

 

――ワールドカップ、楽しみにしていることは何でしょう?

江添:俺はやっぱり(香川)真司のことは気になります。曜一朗も。蛍なんか、入ってきた時からDF力ある選手だと思っていましたが、攻撃にも関わってきて、代表まで行ったかって。やっぱり見ますよね。

森岡:日本代表、期待していますよ。今年の初めにメディアのワールドカップ企画で「メンバーを選んでくれ」っていう依頼があって。日本代表、タレントが豊富ですからね。いろんなイメージが膨らんで、選ぶの楽しかったですよ。そういう目線でみなさんも楽しめるわけだから。その時にちょっと江添みたいなイケメンコーチと一緒に薀蓄を語り合いながら…(笑)

江添:俺はもう、ビール片手に試合見たいです(笑) でもやっぱり…こうすればああすれば目線になるかな。「ここ改善すればもうちょっとうまくいくのに」とか。前半と後半で戦い方を変えてきたのを見て、「あ、同じこと考えてる」とか。「そうやろう、そこ改善しとかな、やられるやろう」っていう(笑)

森岡:いくらでも楽しみ方はあるね。

江添:ゴールシーンだけ見て、「すごい」っていうだけじゃなくてね。

森岡:ボールと真逆を見るとか。アタック見ながら、逆側のDFを見る。あと、ちょっとしたこだわりで、基本、生で見ます。巻き戻しできない状況ですね。分析するのは後でやればいい。リアルタイムで見たい。

 

――「ワールドカップもあることだし、ちょっとサッカーを見てみようかな」という人に、楽しみ方のアドバイスを。

森岡:それこそ、いい男がいるかどうか(笑) いっぱいいると思いますよ、世界には。

江添:この選手のこのプレー好きっていうのを見つけるのも楽しい。その選手に注目して試合を見てみるんです。

森岡:ぼくは小学校の時、一応、アタッカーだったんです。ドリブルで抜くプレーが大好きだったので、ドリブラーを追いかけましたね。マラドーナの5人抜きなんかはもう大変だった。すごい、すごい選手だなって。

 

――注目している国はありますか?

森岡:スペインとドイツかな。リーグが好きなんです。グアルディオラ監督がバルサからバイエルンに行って、やっぱりすごいチームになっていたりして。そういうこともあって注目しているんですが。ただ、世界となると、知らないことだらけなんですよね。今アフリカのスタンダードがどんな感じか知らないですし、中東のチームも、中国も、中南米がどんな感じなのかも。世界中、いい選手はいっぱいいるわけで、だから、発掘の楽しみもあります。どんなサッカーを見せてくれるのかって。

江添:ぼくもそんな感じですかね。スペインみたいに強いチームは、絶対に見たい。でもそれ以外にどれだけ面白いチームがあるのか。

森岡:そういう意味では、予選リーグは楽しみですね。驚きを見せてほしいな。

江添:睡眠不足でいいです。俺、もうプレーヤーじゃないから(笑)

 

 

――では最後に、関西のサッカーファン・サポーターにメッセージを。

森岡:そうですね。まずは佐川印刷京都で、少しでもみなさんの心が動くようなものを伝えていければいいなと思います。で、えー、難しいな。先どうぞ(笑)

江添:えっ、まじですか。まあ、今の俺の立ち位置で言うと、佐川印刷京都のサポーターになってもらって、選手やチームをどんどんこう育てていってほしい。今、育つチームだと思うんですよ。そうやって、関西自体を盛り上げていこうと。関西には、相当なポテンシャルがあります。関東を凌ぐサッカー人気を実現できるのは、関西しかいない。ぜひその一端をみなさんにも担って欲しいですね。

森岡:なるほど。だから、そうですね、関西のサッカーファン、サッカーに携わる人みんなで今年もサッカーを楽しみましょうってところでしょうか。サッカーって、世界最大のコミュニケーション・ツールなんです。ボール1つでみんなで楽しんだり、意図を伝えるパスを出したり受け取ったり、そういう試合を見て、またいろいろと語り合ったり。関西でも、スタジアムに来てもらえればそういうコミュニケーションが生まれて輪が広がるでしょう。そうなればいいなと思います。だから、佐川印刷京都も、より愛されるチームに、SPK24になりたい。あと、ぼくは亀岡(佐川印刷京都の練習場所在地、新スタジアム建設予定地)の人にも、ちょっとでもここに興味持ってもらえたらいいなと思います。そして、サッカーを通して、夢や希望、笑顔の輪が広がるように――お疲れ様でした!

 

Text by Michio KII

 

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